小金井市がこの度新しくオープンしました交流センターのホールに小山さんが選定されたスタインウェイが設置されました。今日はそのお披露目と言うことでのコンサートでした。
ホールは大ホール(578席)と小ホール(150席)がありますが、今日は大ホールでのコンサートです。
ホール内はとても明るく清潔感溢れ、まさに小金井市民の文化交流を行うのに最高の空間です。
客席に一歩足を踏み入れると、まだ新しい木の香りが何とも言えず気持ちの良い気分にさせてくれました。
ホールの床も壁も全てが今出来たばかりと言うホヤホヤの状態でした。
そしてスタインウェイ。本当に美しいです。新品の持つ美しさがスタインウェイにより一層の素晴らしい輝きをもたらしていました。
まず始めにこのホールの館長であられます天羽麻里子さんと小山さんのトークが30分くらいありました。
天羽さんの質問に答える小山さん。ホールの印象はとても明るくてゆったりしていますね。
ピアノの音色がとても自然で、新しいホールですが硬さが少なく伸びやかに響くとても素晴らしいホールです。
またこのホールに搬入したスタインウェイですが、そのピアノを選定された過程や基準があればとの質問に関しては、ハンブルグより搬入されていた大井埠頭にあるセレクションセンターにある4台のスタインウェイの中から選定されたそうですが、弾き較べる中で瞬間的にこれだ。。。と言える素晴らしいピアノであったとの事です。伸びやかで自然な感じがとても良く、搬入後もどんどん成長するピアノだと直感的に感じた様です。
小山さんは響きに影響のあるスタインウェイのボディーについて多くを語っていた様に思います。
そして被災地でのコンサート活動のことを小山さんへ質問されました。
3月11日の大震災で生き残ったスタインウェイのお話がありました。もともと宮古文化会館に置いてあったスタインウェイで小山さんが一昨年のコンサートでも使ったピアノだったのです。そして震災の後に高台にある中学校に避難されていたのですが、それを今回の5月11日の被災地でのコンサートのため磯鶏小学校に運び、災害にも負けない、という宮古の復興のシンボルとして演奏されたとの事です。ちなみに、宮古の文化会館は津波の盾になって、会館の一階部分などはすっかり壊れしまった様ですが、会館の裏手にあった民家は津波の被害からまのがれたそうです。復興はいつになるかはまだ全く見当がつかないようですが、この素晴らしいホールがまた復興してくれれば良いですね!
また印象的なお話としては被災地でのコンサートで着るドレスですが、あまり派手なものは慎んだ方が良いのでは?と思い、コンサートを行った学校の先生に相談をした所、その逆で出来るだけ華やかなドレスでお願いします。との皆さんの意見だったそうです。実際に被災された方たちは、我々が思っている様な事ではなくごく普通の事でお願いしたいとの事だったのです。。。この話には被災者の真の気持ちが含まれていました。
そしていよいよピアノ演奏です。
まず始めにショパンのノクターン第20番でした。被災地の事、そして田村先生を思い弾かれたこの1曲。もう僕は目頭の涙を押さえるのがやっとでした。
ピアノは本当に自然でなめらかな音色でした。音の歪やかすれなど全く皆無でダイナミックレンジも物凄く広くホール全体に鳴り響いていました。
小山さんの言われた通り、伸びやかで自然な音色はこのホールにとてもマッチしていました。
僕も今まで沢山のホールで小山さんのピアノを聴いてきましたが、間違いなくここ小金井市民文化交流センターのスタインウェイは第一級品である事は間違いない、と思いました。
演奏曲目はピアノの音色や性能を確認するのに十分な曲ばかりで、松雄楽器の調律師・杉浦さんの思いも詰まったこのスタインウェイは観客を十分に魅了出来る最高のピアノでした。
今日はとても貴重な体験が出来ました。小山さんが選定されたピアノがこれから何世紀も人々を魅了し続けて行くと思うと感慨無量でした。
小金井市民文化交流センターのスタッフの皆さんはとても神経が行き届いた細かかな対応をして下さいました。
小金井市の文化の発信場所としてのこれからが期待できます。このホールでの小山さんのリサイタルには必ず足を運ばせて頂きたいと思います。
午前中は快晴でしたが、終演後のホールの外は雨でした。
今日は田村先生の告別式が上野の森で営なわれました。
ご冥福を心よりお祈り申し上げます。
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